帰りに中古販売のゲーム屋さんに寄ってみると、5月27日に発売されたばかりのマリオギャラクシー2を買うお父さんと子供が店員さんと話していた。ニンテンドーのゲームは老若男女、みんなから好かれる良作ばかりで凄いものだ。
さて、タイトルの話題に移ろう。昨年の12月17日に発売されたPS3ソフト、FF13。
非常にグラフィックが綺麗で、プレイするとまるで映画でも見ているかのような感覚に陥る。ソフトの定価は9240円で、最近のソフトの価格と比べたらすこぶる高いように思える。しかし、タイトルのブランドと、ゲームのクォリティを考えたら納得いく価格でもある。
しかし、発売から5ヶ月ほど経った今、なんと9240円だったソフトは無残にも980円で店頭に並ぶという悲劇。
日本ではおよそ185万本、海外での売れ行きもあわせれば500万本以上売れていることを考えたら確かに凄まじい。
実際、FF13やDQ9などのおかげで、2010年3月期の決算報告では、278億円の経常利益を出し、過去最大を記録している。ゲーム事業だけ見ても2009年度は67億円だったのに対し、2010年度では238億円、+254%という快挙である。
SQUARE ENIX 2010年3月期決算説明会資料:
http://www.square-enix.com/jpn/pdf/news/20100518_03.pdf
しかし、私はもっともっと売上を伸ばすことができると考えている。
そう、ダウンロード販売だ。お店に行き、ゲームパッケージを買う時代は長くは続かないだろう(という私の願いを込めて)。
Wiiではバーチャルコンソール、DSiではDSiウェア、PSPやPS3ではPlaystationStoreにてゲームをダウンロードすることができる。
いよいよ、プラットフォームが整いつつあるのだ。
しかし、まだまだユーザに対する浸透は薄い。
お店でゲームパッケージを購入し、家に帰ってプレイするというゲームの常識は簡単には覆せない。
皆さんは去年の11月に発売されたPSP goをご存じだろうか。
元来、PSPはUMDという媒体のソフトを入れてゲームをプレイする。しかし、このPSP goではなんとUMDドライブを取り除き、16GBのフラッシュメモリを搭載して完全なダウンロード販売のみに対応したハードに仕上げられた。
これによって、徹底的に軽量化が図られ、ソフトをお店に行かずとも購入することができるようになった。
非常に画期的な試みである。しかし、悲しいことに全く売れなかった。
実は、ソニーエンターテイメントで働いている友人がいるのだが、この友人も発売前からこれはダメだろうとぼやいていたくらいだ。
しかし、着眼点は悪くない。いや、凄くいいのだ。時代がついてこれないのだ。
PSPにしろ、PS3にしろ、ソニーは非常にいいものを作る。なのに時代を先行しすぎていてユーザがついてこれない。時代のニーズにあわせてハードを作り上げた任天堂のDSやWiiが圧勝したことは記憶に新しい。
PSPやPS3が発売されてからある程度時間が経ってからやっとユーザに認知され始め、売れ行きが伸びてきた。そのキーとなったソフトがPSPではモンスターハンター2nd、PS3ではメタルギアソリッド4とFF13である。
PSP goにもそういった時代は来るのであろうか。ユーザがソフトを購入する環境をシフトするのは簡単ではないはずだ。
しかし、水面下でソニーは着々と動き出している。
次々と発売される新作ソフトをダウンロードにて購入したほうが圧倒的に安いのだ。
例を出そう。
5/27にアトラスから発売された「ブレイブ・ユニオン」。
店頭販売の定価は6279円。これに対してダウンロード販売は4980円。およそ1300円もの差額がある。
つまり、なんとかしてユーザがゲームソフトを購入する場を実店舗からインターネット上に移行させようとしていることがわかる。
実は、ゲーム業界が今後も末永く生き残るためには、こうしたプラットフォームが世間に認知され、ネット上でゲームを買うことが当たり前の世界にならないといけない。
今や、PS3用のゲームを開発するのに10億近くかかったりすることは珍しくない。
ソフト1本の開発に時間も労力も物凄く増えている。なのにゲームの単価は下がる一方で、時間をかけて作りだしたゲームもすぐに売れなくなり、中古ソフトが出回り、開発会社にお金が入らなくなる。
このままではゲーム業界は衰退し、面白いゲームが世の中に出てこなくなってしまうであろう。
もちろん、ゲームなんてなくたって生きていける。
でも、それではあまりにも寂しいではないか。
汗水流して死ぬ気で面白いゲームを作っているクリエイター達がもっと報われる世の中にするためにも、そしていつまでも面白いゲームをすることができる時代にするためにも、私はこのダウンロード販売というプラットフォームをぜひとも成功するようにと願う。